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伝統の修道院チーズ復活 ボスニア、弾圧で途絶える

ボスニア・ヘルツェゴビナの修道院が、旧ユーゴスラビア時代の宗教弾圧をきっかけに途絶えていたチーズの生産を復活させ、評判を呼んでいる。修道士の口伝えで長年受け継がれたレシピで作る「唯一の伝統のトラピストチーズ」(同修道院)は、地域活性化の切り札としても期待を集めている。

チーズ作りを伝承してきたのは北部バニャルカのマリア・ズビエズダ修道院。オスマン帝国支配下の1869年、トラピストと呼ばれるカトリックの「厳律シトー修道会」の修道士が設立、82年にチーズ生産を始めた。

当時は世界最大規模のトラピスト修道院で、孤児も多数収容。「祈り、働け」をモットーにビールも醸造していた。

チーズはオーストリア・ハンガリー帝国の首都ウィーンでも売られたが、第2次大戦後、社会主義政権が施設を接収、破壊しチーズ生産を禁止。多数の修道士が追放、投獄、殺害された。

チーズは破壊を免れた修道院の地下でほそぼそと作られていたが、レシピを知る修道士が旧ユーゴ解体後の1996年に急死、伝統は途絶えた。

2002年に慈善団体が地域活性化のため、修道院のチーズ製造所跡付近に農協の設立を計画。トラピスト伝統のレシピが残るフランスの修道院で修道士がチーズ作りを学び、08年に再び製造を始めた。

今では1日に牛乳千リットルから100キロのチーズを生産。最盛期の半分だが評判は高い。フラニョ修道士(64)は「トラピストチーズは牛乳だけで作り、やや固め。本物はここだけ」と強調。農協のドゥラジェンコ・ブディミル組合長(42)は「農家の収入増につなげ、雇用を創出したい」と話した。(バニャルカ=共同)

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