極東会トップの使用者責任認定 暴対法初、東京地裁が賠償命令

2016/9/29 12:03
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暴力団極東会系の組員に現金を脅し取られたなどとして、聴覚障害者の男女27人が同会事実上トップの曺圭化元会長(88)や組員ら3人に計約2億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。山田真紀裁判長は曺元会長の「使用者責任」を認め、3人に約1億9700万円を支払うよう命じた。

原告の弁護団によると、2008年施行の改正暴力団対策法の規定を適用し、暴力団トップの使用者責任を認めた判決は初めて。

山田裁判長は判決理由で「極東会では上位の構成員に対する上納金制度があると推認され、組員は極東会の事業の一環として恐喝や詐欺で資金を獲得した」と指摘。曺元会長について「(暴対法に基づく)使用者責任を免れない」と判断した。

訴状などによると、恐喝や詐欺行為を繰り返したのは聴覚障害者の極東会系の組員。08年5月~10年4月、知人に紹介された男女らを手話で「殺す」と脅して金を要求したり、架空のテレビ電話事業への投資などを持ちかけたりした。刃物を向けられて多額の現金を渡した被害者もいた。

原告の弁護団は「組員は聴覚障害者同士の信頼感につけ込み、暴力団の威力によって資金獲得行為を繰り返していた」と主張した。

使用者責任は、従業員が業務を通じて第三者に損害を与えた場合、雇い主が賠償責任を負うとする民法の規定。暴力団トップの使用者責任を巡っては、下部組織の組員が警察官を誤射した事件で、最高裁が04年11月、民法の規定に基づき認めた例がある。

ただ、民事訴訟で暴力団組織の指揮命令や上納金制度などを立証するハードルは高かった。しかし、08年の暴対法改正で「暴力団の威力を利用して他人に危害を加えたり財産を奪ったりした」ことを明らかにすれば、トップの責任を問えるようになった。

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