黒岩涙香の直筆原稿見つかる 死の半年前、情熱失わず

2017/1/30 11:40
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明治時代に日刊紙「万朝報」を創刊した高知出身のジャーナリストで翻訳家、黒岩涙香(るいこう、1862~1920年)が死の半年前、同紙に連載した海外紀行文の直筆原稿が見つかったことが30日までに、高知県立文学館(高知市)への取材で分かった。

同館の谷岡真衣主幹によると、現存する涙香の直筆原稿は珍しく「病に苦しみながらも、新聞作りへの情熱を失わなかったことが分かる貴重な資料だ」と話している。

見つかったのは第1次世界大戦後に訪れたフランス、イタリア、スペインなどの印象を回想した「南欧遊草」(1920年3~4月に22回続きで連載)の原稿約40枚分。はっきりとした筆跡ながら、崩した文字の様子から短時間で一気に書き上げたとみられる。切り分けたり、のり付けしたりした部分もあった。

涙香は18年12月、パリ講和会議の時期に合わせ、他紙の記者らとヨーロッパに出発。フランスの作家デュマの「巌窟王(モンテ・クリスト伯)」など翻訳を多数手掛けてきたが、海外旅行は初めてで、発熱や持病のぜんそくに苦しみながらも半年かけて各地を巡った。

帰国後、ローマの円形闘技場遺跡コロッセオや謝肉祭の様子、モナコのカジノなど特に印象的だった場面に漢詩を添えて「南欧遊草」を執筆。病気が悪化し連載終了翌月の20年5月に入院、同10月に死去した。

昨年12月、涙香の死後に資料の整理に関わった万朝報記者の孫が同館に寄贈した。4月に公開する予定。

▼黒岩涙香 1862年、現在の高知県安芸市で生まれ、大阪や東京で学び、新聞記者を経て92年に東京で日刊紙「万朝報」を創刊。他紙より安い購読料や翻訳探偵小説、有名人の暴露記事などを目玉に多くの大衆読者を獲得した。社会・労働問題にも関心を持ったが、日露戦争では主戦論に転じ、同紙の論客だった幸徳秋水らと決別した。代表作に翻訳小説「幽霊塔」「巌窟王」など。〔共同〕

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