英和辞典の古典、新版で復活 巧みな翻訳人気

2016/12/3 11:39
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明治・大正期に活躍した英語学者、斎藤秀三郎が著し「英和辞典の古典」ともいわれる「熟語本位 英和中辞典」の新版が10月下旬に発売され、好評を博している。最初の2500部は完売して一時品切れとなり、千部を増刷する「うれしい誤算」(出版元の岩波書店)。担当者は「翻訳が巧みで根強い人気がある。今後も確実に売れ続けていくと思う」と手応えを感じている。

「熟語本位 英和中辞典」の新版を手にする山崎貫さん(16日、東京都千代田区の岩波書店本社)=共同

斎藤秀三郎は幕末の1866年に現在の仙台市で生まれ、東京帝大工学部の前身、工部大学校などで学んだ。東京に自ら創設した英語学校などで教える傍ら、英語辞書編さんに取り組んだ。世界的指揮者である小澤征爾さんの師、斎藤秀雄の父でもある。

大変な自信家で、東京で英国人役者のシェークスピア劇を見た時に「てめえらの英語はなっちゃいねえ」と客席から怒鳴り、退去させられたという逸話が残っている。

「熟語本位 英和中辞典」は1915年の刊行。「Love laughs at distance.」の訳語に「惚(ほ)れて通えば千里も一里」という都々逸の文句をあてるなど、熟語を重視した豊富な用例や、聖書や和歌などから引用したこなれた訳文が特徴だ。「斎藤英和」の名で親しまれ、旧版は累計100万部を超えている。

新版では本文の記述はそのままに、漢字仮名遣いを改め、古い漢字には振り仮名を付けた。四六判から菊判に一回り大きくし、全文検索用のCD-ROMを付けるなど、現代の利用者にも使いやすいよう工夫した。そのままでは現代に通じない部分などに多数の校注を施して補った。

2千ページで1万円だが、好評のため10月25日の発売日に重版が決まった。

新版を手掛けた岩波書店辞典編集部の山崎貫さんは「『斎藤英和』は辞書だけでなく日本の英語教育テキストの原型。洋行の経験のない人がこれだけのものを作ったことに驚かされた」と話している。〔共同〕

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