福島第1の地下水処理能力倍増へ 凍土壁の効果上がらず
東京電力は、福島第1原子力発電所の敷地内に流れ込んでいる地下水の処理能力を倍増する。28日の原子力規制委員会の検討会で表明した。原子炉建屋などを囲むように地盤を凍らせて地下水の流入を防ぎ、汚染水の発生を抑える「凍土壁」の効果がみられないことから、規制委は新たな対策を求めていた。
福島第1原発では、地下水の流入により1日約400トンの汚染水が発生している。東電はこれを減らすため、建屋の周辺の井戸から地下水をくみ上げ、浄化して海に流している。
今年中にも、地下水の浄化設備を現在の1台から2台に増やして処理能力を倍増する工事に着手。さらに地下水を一時的にためるタンクも増やし、地下水の処理能力を増強する。
政府・東電は原子炉建屋などにたまる汚染水の処理を2020年中に完了する目標を掲げている。東電は井戸からのくみ上げと浄化に加えて、建屋周辺の地下を氷の壁で囲う凍土壁によって地下水の流入そのものを抑えるとの計画を立て、今年3月に凍結を始めた。
東電は凍土壁が完成すれば一定の効果があると考えており、地下水の処理能力の増強と同時に推し進めたい考えだ。だが規制委は「まだ効果が出てきていない」(更田豊志委員)とみている。凍土壁の効果がなくても20年までの汚染水処理との目標を達成できるよう、東電に具体策をつくるよう求めていた。
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