2019年3月25日(月)

藤沢周平の草稿700枚発見 文学賞応募の未発表作も

2015/5/28付
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下級武士や庶民の生きざまを情感豊かにつづった作家、藤沢周平さん(1927~97年)が、文壇デビュー前に執筆した初期作品の草稿約700枚が見つかった。中には文学賞に応募した未発表作も。出身地の山形県鶴岡市立藤沢周平記念館で一部を公開しており、同館は「藤沢さんの創作意欲を物語る貴重な資料だ」と話している。

藤沢さんの長女が昨年10月ごろ、同館の企画展に出す資料の整理中に見つけた。生前に藤沢さんがメモ用紙として長女に手渡し、処分しておくようにと頼んでいたものだったという。

草稿の中には、藤沢さんが専門新聞社に勤めながら65~66年にオール読物新人賞に投稿した作品で、未発表のため題名しか知られていなかった「蒿里曲」と「赤い月」の2作品もあった。

「蒿里曲」は史実を基にしたあだ討ち物で、73年発表の小説「又蔵の火」の原型とみられる。「赤い月」は、流刑地から故郷へ戻った男を近所の女が出迎える冒頭の描写から、書き出しが似た短編「割れた月」の草稿と推測される。欄外に吹き出しで文章を付け足したり、二重線を引いて書き直したりした跡から、納得するまで表現を考え抜いた様子が垣間見える。

73年の直木賞受賞作「暗殺の年輪」の草稿も見つかった。「眼」「襲撃」「刺客」など題名の候補が6つ用意され、主人公の名前も複数考えるなど、作品への情熱がうかがえる。

記念館での展示は10月6日までの予定。鈴木晃館長は「私たちは作品の完成形しか目にしないが、そこに至るには大変な苦労があったと教えてくれる。創作への強い思いを感じてほしい」と話している。〔共同〕

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