裁判員制度の合憲性焦点 ストレス障害訴訟、30日に判決
裁判員を務めることを強制され、強盗殺人事件の裁判員裁判で殺害現場の写真を見るなどして急性ストレス障害になったとして、福島県郡山市の青木日富美さん(64)が、国に200万円の損害賠償を求めた訴訟は30日、福島地裁(潮見直之裁判長)で判決が言い渡される。青木さんは裁判員制度が違憲だと主張。全国初とみられる裁判員経験者の提訴に対し、地裁の判断が注目される。
これまで制度の合憲性が争点となった刑事裁判で、最高裁は合憲との判断を示している。
提訴を契機に各地の裁判員裁判では、証拠調べで遺体の写真を示すことを事前に告知したり、モノクロにしたりするなど、裁判員の負担を軽減する取り組みが進んだ。
裁判で原告側は、裁判員選任手続きで、呼び出しに応じないと過料を科すことなどを定めた制度は、意に反する苦役を禁じた憲法に違反し、不十分な審議で裁判員法を成立させた立法の過失があると訴えた。証拠調べで過失があったとの主張はしていない。
国側は「制度は国民の司法参加を求めたもので、裁判員には日当が支払われ、辞退もでき、苦役に当たらない」と、請求棄却を求めている。
訴状によると、青木さんは昨年3月、福島県会津美里町で夫婦が殺害された強盗殺人事件の裁判員裁判で、遺体の写真や被害者が助けを求める119番の録音を見聞きし、急性ストレス障害になったとしている。
この裁判員裁判の判決は、被告を死刑としたが、弁護側は「健康状態が疑われる裁判員を解任、辞退させなかった」と控訴審で主張。仙台高裁は控訴を棄却し、弁護側が最高裁に上告している。
青木さんは「苦しむのは私たちで最後にしてほしい」と話している。〔共同〕
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