2019年4月22日(月)

海鳥保護、ネコ捕獲でネズミに悩む 北海道・天売島

2016/1/28 12:32
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希少な海鳥の一大繁殖地、北海道羽幌町の天売島で、農作物やケーブルがネズミにかじられる被害が増えている。鳥のひなを襲うとして2014年10月に始まった野良猫捕獲がネズミ増加の背景と指摘する声もあるが、町は「因果関係は分からない」と説明。ネコ捕獲をいったん中断し、今度はネズミ対策を始めた。

町によると、ネズミ被害は昨年秋ごろから目立ち始め、かじられた跡が集落や港で次々に見つかった。漁船のケーブルをかじられた漁師、奈良清志さん(63)は「投光器をつけたら煙が出た。こんな被害は漁師歴40年で初めて。海で火災になったら危ない」と心配する。

国内に約30羽しかいない絶滅危惧種の海鳥ウミガラスの繁殖地もある島は「海鳥の楽園」とも称される。近年はひなを襲う約300匹のネコに悩まされ、環境省や羽幌町などが捕獲を始めた。

捕獲と同時に、捕まえたネコの飼い主探しも進め、島のネコは約1年で数十匹まで減った。しかし昨年12月からは島民感情に配慮し捕獲を中断。希望者にネズミ捕り器を無料で配っている。

同じようなことは世界自然遺産の小笠原諸島(東京都)でも起きている。小笠原村環境課によると、10年に野鳥保護のためのネコ捕獲を本格化した結果、ネズミの目撃数が増加。こちらも「関係は不明」とするが、農作物への被害もあり殺鼠(さっそ)剤の購入補助をしている。

天売島では捕獲中断で再びネコが増えるとの懸念もある。捕獲に携わる自営業、斉藤暢さん(42)は「秋に子猫が見つかっており、繁殖能力のあるネコはまだいる。せっかく減ったのに、今やめたら取り組みが無駄になる」と話す。

環境省羽幌自然保護官事務所は「ネズミが海鳥を襲う可能性もある。ネズミが増えたからネコ対策をやめるのではなく、並行して取り組みたい」。昨夏からネズミが海鳥に及ぼす影響を懸念し、繁殖地にいるネズミの調査を始めていたという。

旭山動物園(北海道旭川市)園長の坂東元さんは「島のネコにはネズミ被害を防ぐ役割があった。ネコの数を管理し『使役ネコ』として残す必要があるのではないか。保護はネコと海鳥だけでなく、ネズミや人間生活との関係も含め考えなければならない」と話している。

〔共同〕

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