2018年6月23日(土)

核なき世界へ、被爆者「ともに頑張る」 オバマ氏と抱擁

2016/5/27 23:10
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被爆者の森重昭さんと抱き合うオバマ米大統領(27日午後、広島市中区の平和記念公園)

被爆者の森重昭さんと抱き合うオバマ米大統領(27日午後、広島市中区の平和記念公園)

 オバマ大統領は27日午後、サミット会場の三重県志摩市からヘリコプターと専用機「エアフォースワン」を乗り継いで広島入りした。午後5時半前、西日が差す平和記念公園に到着すると、まず被爆者の遺品などを展示する広島平和記念資料館(原爆資料館)に向かった。

 志賀賢治館長らによると、館内では館側がロビーに用意したいくつかの展示物を見て回った。

 中でも関心を抱いたのは、被爆後に闘病生活を続けて12歳で亡くなり、平和記念公園にある「原爆の子の像」のモデルにもなった佐々木禎子さんが折った鶴だ。出迎えた小中学生に和紙の折り鶴を渡す場面もあった。「少し手伝ってもらったが自分で作った」と話したという。自作の折り鶴は子供に渡したほか、記帳した芳名録の横にも置いた。

 展示物に関する岸田文雄外相の説明にうなずきながら耳を傾け、「心を動かされた」を意味する「パワフル」の言葉も口にした。

 オバマ氏が資料館内にいたのは10分ほど。見学の様子は非公開で、日米双方とも詳細は明らかにしていない。

 その後、慰霊碑前での献花と演説を終えたオバマ氏は、まっすぐに被爆者のもとへ歩み寄った。視線の先には演説を聞き届けた日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員の坪井直さん(91)ら被爆者団体の関係者の姿があった。

 最初に坪井さんと右手で握手を交わすと、演説中は険しかった表情が徐々に笑顔に変わる。坪井さんが「大統領退任後も広島に来てください。核兵器のない世界に向けて、あなたとともに頑張ろうと思う」と通訳を介して訴えると、「サンキュー」とうなずいた。

 自らも被爆者で、被爆した米兵捕虜の研究をしている森重昭さん(79)と向き合った際には、涙ぐむ森さんの肩を強く抱きしめた。いたわるように森さんの背中をさするようなしぐさもみせた。

 被爆者との対話を終えたオバマ氏は、元安川越しに原爆ドームを見て、車で公園を後にした。滞在は1時間足らずだった。「広島に来られて本当によかった」。こう感想を口にしたという。

 ▼広島平和記念資料館 原爆被害の惨状を伝え、核兵器の廃絶を国内外に訴えるため1955年8月、広島市中区の広島平和記念公園内に開設された。原爆資料館とも呼ばれる。原爆投下直後の写真や被爆者の姿が焼き付いたとされる「人影の石」、黒焦げの弁当箱といった遺品などを展示する。被爆者証言の収集活動も行っている。
 国内外からの来館者は年100万人を超え、開館から2015年度末までに約6733万人が足を運んだ。同公園には慰霊碑や世界遺産の原爆ドームなどがあり、毎年8月6日の「原爆の日」には平和記念式典が催され、世界各国の大使らも招かれている。

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