「関電は安全説明を」 大津地裁、規制委にもクギ - 日本経済新聞
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「関電は安全説明を」 大津地裁、規制委にもクギ

関西電力の大飯原子力発電所(福井県おおい町)と高浜原発(同県高浜町)の再稼働差し止めを滋賀県などの住民が求めた仮処分申請で、大津地裁は27日、申請を却下する決定をした。「(両原発の)再稼働が差し迫っているとはいえない」として、仮処分による暫定的な対応の必要はないとした。

ただ決定は両原発の安全性の判断は示しておらず、関電に対しては安全性の根拠を説明していないと指摘。原発の再稼働申請を審査する原子力規制委員会に対しても十分な審査を求めた。司法として安全性の確保に厳しい姿勢を示した形だ。

住民側が再稼働差し止めを求めたのは大飯原発3、4号機と高浜原発3、4号機の計4基。5月の福井地裁判決は大飯原発3、4号機について再稼働差し止めを命令。関電側が控訴している。

大飯、高浜の4基は停止中で、関電が再稼働に向けて新規制基準の適合性審査を申請。原子力規制委が審査している。

決定で大津地裁の山本善彦裁判長は「再稼働が差し迫っているとはいえない」と述べる一方、東京電力福島第1原発の事故後に定められた新規制基準の安全性の根拠について「何ら説明を加えていない」と関電の対応に疑問を投げかけた。

地元自治体との連携や役割分担、住民の避難計画などが現段階で策定されていないことも挙げ、「これら作業が進まなければ再稼働はあり得ず、原子力規制委が早急に再稼働を容認するとは到底考えがたい」とクギを刺した。

決定を受け、住民代表の辻義則さん(67)は「市民の司法に対する期待を裏切った」との声明を読み上げた。ただ決定が安全性確保に言及したことを「再稼働にまい進しようとする政府や電力会社の姿勢に対する根底的な不信と批判を述べた」と評価。「実質的には勝訴決定に等しい」とも強調した。

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