2019年6月25日(火)

和の心、「食」に続く快挙 和紙が無形遺産に

2014/11/27付
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国連教育科学文化機関(ユネスコ)による無形文化遺産登録が27日未明に正式決定した「和紙」。昨年の和食に続く朗報に、決定を待ちわびた生産地の埼玉、岐阜、島根各県の関係者は「伝統、技術が世界に認められた」と歓喜の声をあげた。その上で、地元が大切にしてきた技術の継承や文化振興への気持ちを新たにした。

埼玉県東秩父村役場に掛けられた、和紙のユネスコ無形文化遺産登録を知らせる垂れ幕(27日)=共同

埼玉県東秩父村役場に掛けられた、和紙のユネスコ無形文化遺産登録を知らせる垂れ幕(27日)=共同

手すきの和紙「細川紙」を伝承してきた埼玉県東秩父村と小川町の関係者は27日未明、「紙工房たかの」(同村)で無形文化遺産への登録を喜び合った。細川紙技術者協会の鷹野禎三会長(80)は「登録は宝物」と顔をほころばせた。

午前3時すぎに登録決定の電話が入ると、集まった約30人は拍手をしながら「お世話になりました」「ありがとう」と互いに言葉を交わし、くす玉を割って万歳した。

続く記者会見で、東秩父村の足立理助村長は「1300年の伝統技術の歴史が今日刻まれた」と感激した様子。小川町の松本恒夫町長は「登録をチャンスと捉え、細川紙の技術を保存、発展させたい」と意気込んだ。鷹野会長は「後継者を育てるのがこれからの課題」と話した。

夜が明け、和紙作りが体験できる近くの「和紙の里」では花火が打ち上げられた。

「本美濃紙」の産地、岐阜県美濃市でも、本美濃紙保存会の会員ら地元関係者が「ついに世界の和紙になった」と歓喜に沸いた。

和紙がユネスコの無形文化遺産に登録され、「美濃和紙」の紙吹雪が舞う中で万歳する美濃市の武藤市長(前列左から3人目)ら(27日、岐阜県美濃市)=共同

和紙がユネスコの無形文化遺産に登録され、「美濃和紙」の紙吹雪が舞う中で万歳する美濃市の武藤市長(前列左から3人目)ら(27日、岐阜県美濃市)=共同

26日夜から市の施設内に大型モニターを設置し、パリでの審査状況をインターネット中継。保存会会員のほか、武藤鉄弘市長や市職員ら約50人が待機した。27日未明、パリにいる県職員から登録の連絡を受けると、全員で万歳を十数回繰り返して喜んだ。

保存会の鈴木豊美副会長(62)は「うれしさで胸がいっぱい。紙一枚一枚を大切に、良いものを作るため一層精進する」と涙を浮かべた。

27日朝、市役所で開かれた報告会では、武藤市長が「待ちに待っていた。職人の皆さまが技術伝承にかけてきた熱意が実った」と喜びをかみしめた。本美濃紙で作られた直径80センチのくす玉が割られ、詰めかけた関係者ら約200人が祝福した。

「石州半紙」の産地の島根県浜田市でも27日午前、市役所の玄関前に「祝 石州半紙 ユネスコ無形文化遺産『和紙』登録決定」と書かれた縦6メートルの懸垂幕が設置されるなど祝福が広がった。和紙職人でつくる石州半紙技術者会は「手すき紙製造の事業者に光があたり、正当に評価されることを祈る。石州半紙が理解を得られるよう精進に努める」とした。

島根県の溝口善兵衛知事は「誠に喜ばしい。和紙への興味関心が高まり、和紙文化の継承や振興が図られることを期待する」との談話を出し、浜田市の久保田章市市長も「世界に誇る魅力ある文化として、発展していくものと期待する」とした。〔共同〕

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