和紙、世界の宝に ユネスコ無形遺産に決定
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は26日(日本時間27日)、フランス・パリで政府間委員会を開き、日本政府が推薦した「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」を無形文化遺産に登録した。昨年の「和食」に続く登録となった。伝統技術が国際的に評価され、和紙の生産や輸出に弾みがつきそうだ。
登録対象は国の重要無形文化財に指定されている細川紙(埼玉県小川町、東秩父村)、本美濃紙(岐阜県美濃市)、石州半紙(島根県浜田市)。ユネスコ政府間委員会は「産地に暮らすすべての人々が和紙作りの伝統に誇りを持っている」と評価した。
和紙はクワ科の植物、コウゾを原料に手すきで作られる。長期保存に耐えられ、文化庁によると、8世紀の美濃国(岐阜県)の和紙が奈良市の正倉院に残っている。
3種の和紙のうち、石州半紙は2009年に単独で無形文化遺産に登録された。政府は遺産の枠組みを和紙全体に拡大し、細川紙と本美濃紙を加えて13年に再提案した。このため日本からの登録件数は歌舞伎、雅楽など22件のまま変わらない。
無形文化遺産は「世界遺産」や「記憶遺産」と並ぶユネスコの遺産事業の1つ。和食の登録では食材や調理法を発信する動きが広がり、海外での和食ブームの追い風にもなった。16年には全国18府県の祭りを一括して提案した「山・鉾(ほこ)・屋台行事」の無形文化遺産の登録の可否が審査される予定。