南海トラフ、予知前提の防災を転換 異常時に情報発信
気象庁11月から

2017/9/26 18:21
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気象庁は26日、南海トラフ巨大地震の新しい防災対応として、異常現象が観測された場合に「南海トラフ地震関連情報」を発信し、トラフ沿いの広範囲の地域に警戒を呼びかけることを決めた。11月1日から運用を始める。予知を前提とした従来の防災対応を見直し、巨大地震の恐れがあると判断した段階で情報を発信し、住民に迅速な対応を呼びかける。

南海トラフ巨大地震の対策強化に向けた報告書を小此木防災相(右)に提出する中央防災会議・有識者会議の平田直主査(26日午前、内閣府)

南海トラフは、静岡県沖の駿河湾から九州沖にかけて約700キロ続く海底の溝。約100~200年おきに巨大地震が繰り返し起きている。最大でマグニチュード(M)9クラスの地震が想定され、最大で死者約32万人、経済被害約215兆円が見込まれている。

南海トラフ巨大地震の想定震源域には、駿河湾周辺を震源とする「東海地震」の想定震源域が含まれる。従来の防災対応は東海地震を予知できるとの前提だったが、政府の中央防災会議は26日、東海地震を含む南海トラフ巨大地震について「確度の高い予測は困難」として、予知前提の防災対応を改めるべきだとの報告書をまとめた。

報告書は、予知に代わり、異常現象を観測した場合に住民避難を促す仕組みを検討することや、地震・津波の観測体制強化を求めた。異常現象については(1)南海トラフの東側で大地震が発生(2)一回り小さい前震らしき地震が発生(3)東海地震の前兆とされるプレートすべりが発生――などのケースを想定した。

報告書を受け気象庁は、観測された異常現象と南海トラフ巨大地震との関連性を調べ始めるなどした場合、地震関連情報の発信を始めることを決めた。内閣府は被害想定地域の住民に家具の固定や避難経路の確認、備蓄の点検などの警戒を呼びかける。地震関連情報は南海トラフ巨大地震の新しい防災対策が定まるまでの暫定的な措置との位置付けという。

26日の中央防災会議に出席した菅義偉官房長官は「トラフ沿いで異常現象を観測した場合は国民に迅速な情報提供をしてほしい」と関係閣僚らに指示した。政府は津波被害が想定される静岡県や高知県について、具体的な防災対応を議論する「モデル地区」とし、住民避難などの課題を検証する方針だ。

東海地震の防災対応は予知に基づく情報発信を当面取りやめる。首相が「警戒宣言」を出して鉄道の運行を停止させるなどの制度は存続するが、運用を事実上凍結する。

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