/

杭工事なおモラル頼み 罰則なし、効果に疑問も

横浜市のマンションが傾いた問題をきっかけに相次いで発覚した杭(くい)打ちデータの改ざんを巡り、国土交通省の有識者委員会は25日、背景にある業界の施工管理の甘さを指摘した。国交省はルールを明確にして再発防止を図る方針だが、強制力のないガイドラインにとどまる見通し。どこまで現場に徹底できるのか、実効性が問われそうだ。

「単なるミスにとどまらない、業界の風潮、企業の風土、関係者の意識に関わる根深い問題だ」。有識者委の深尾精一委員長(首都大学東京名誉教授)は25日の記者会見で、データ改ざん問題についてこう指摘した。

横浜市のマンションの杭打ち工事で、2次下請けの現場担当者はデータの記録ミスなどを取り繕うために改ざんを行ったと説明。元請けは工事の進捗に応じてデータなどを確認せず、施工管理に不十分な点があったと指摘されている。

他の杭打ちの現場でも、データの記録装置の操作ミスや資料の紛失があると、施工報告書の体裁を整えるためにデータの改ざんが横行していたとみられる。

ただ、国交省がまとめる杭打ち工事の指針は建設業法の「告示」の形となる見通し。中間報告の提言で法改正にまで踏み込まなかった理由について、深尾委員長は「施工不良は横浜市のマンションでしか見つかっておらず、データ改ざんと安全性の関連性は極めて低い」と指摘。「今回の問題は現場がルールを徹底することで再発を防げる」と説明した。

これに対し、欠陥住宅被害全国連絡協議会幹事の河合敏男弁護士は「強制力のないガイドラインや業界団体の自主ルールで簡単に改善につながるとは思えない。性善説に立ったモラル頼みの内容だ」と実効性に疑問を呈す。

2005年に発覚した耐震偽装問題では、国交省が再発防止策として建築基準法を改正し、建築確認を厳格化した後、住宅着工戸数が低迷。国交省の担当者は「規制を強めすぎると民業に悪影響を与える面がある」と話し、「ルールが守られているかどうかは、立ち入り検査などを通じてチェックしていきたい」と強調する。

横浜市のマンションでは住民への補償などで数百億円の費用が発生するとみられており、「役所が規制するよりも、企業にとっては再発を防ぐ動機づけになるのではないか」(国交省幹部)との声もある。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン