「育休で退園やめて」 母親ら所沢市に差し止め求める
保育園に0~2歳児を通わせている母親が下の子を出産し、育児休業を取得した場合、園児を原則退園させる新方針を埼玉県所沢市が4月から始めたのは違法だとして、母親ら11人が25日、市に退園の差し止めを求める行政訴訟をさいたま地裁に起こした。判決が出るまで退園を仮に差し止めることも申し立てた。
記者会見した代理人の原和良弁護士によると、所沢市の他にも同様の対応を取っている自治体があり、今後は連携して活動することも検討している。5月に第3子を出産したため2歳の園児が7月末に退園となる可能性がある母親(37)は「子供にとって保育園に通うのは生活の一部。元の園に戻れる保証がないのは不安だ」と訴えた。
原告らは近く、有村治子少子化担当相に問題解決を訴える要望書を提出する方針。
市によると、原則退園は0~2歳の園児を母親の出産の翌々月末までに退園させ、育休中は家庭で育ててもらう仕組みで、待機児童の解消にもつながるとしている。市は退園対象の園児を「育休中は家庭での保育が可能で、双子や病気の子などを除き、原則として在園させる必要はない」としている。
原告側は訴状で、こうした運用に関し「育休中も保育園での保育の必要性を認めている子ども・子育て支援法施行規則などの解釈を誤っており違法だ」と主張している。
市内の保育園が3月、原則退園の運用を周知すると、保護者の間から反発の声が上がった。市は、できる限り元の園に戻れるよう入園選考方法を変更し、その園の定員を超えても別枠で預かれるようにするとの方針を示したが、保護者は「退園が変わらないなら根本的解決ではない」と訴えている。
藤本正人所沢市長は「市として文章をいただいていないので何とも申し上げることができない」とのコメントを出した。〔共同〕
関連キーワード