小中学生の理数学力、過去最高 国際テスト
全教科5位内
国際教育到達度評価学会(IEA、本部オランダ)は29日、小学4年と中学2年が対象の国際学力テスト「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」の2015年の結果を発表した。日本は全4教科の平均点でいずれも1995年の調査開始以来、過去最高を記録。中2理科の国際順位は前回から2つ上げて2位となるなど、全教科で5位以内に入った。
テストを受けた小4は小1から「脱ゆとり教育」で授業時間が増えた現行学習指導要領の対象となり、中2も先行実施された現行指導要領で小3から学んでいる。文部科学省は「理科の実験などを重視した現行指導要領下での学びや、07年度に始めた全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)による指導改善が奏功した」と分析する。
調査は過去の結果と比較できるよう95年の国際平均点を500点とし、得点を統計処理した。
日本の平均点は中2の数学で前回より16点上がり、理科も13点伸びた。小4は算数が8点、理科が10点上昇。国際順位は中2理科が2つ上がって2位となり、過去最高を更新した。小4理科は1つ上がって3位、小4算数と中2数学はいずれも前回と同じ5位だった。
一方、過去の調査で低迷していた「算数・数学や理科が楽しい」と考える子供は、各世代で増加傾向だった。算数・数学が楽しいと答えた小4は03年の65%から今回は75%に、中2は39%から52%にそれぞれ改善。それでも中2は国際平均(71%)と比べて引き続き大きな差がみられるなど、意欲面では他の国・地域との差が依然としてみられた。
TIMSSは4年ごとに行われ、今回は50カ国・地域の小学校と40カ国・地域の中学校が参加。日本では昨年3月に小中学生計約9100人がテストを受けた。シンガポールが全4教科でトップとなり、韓国や台湾、香港などアジアの国・地域がこれまでと同様に上位を占めた。