2019年9月23日(月)

昭和20年、公文書でたどる 国立公文書館の企画展示始まる

2015/7/25付
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日本が敗戦した「昭和20年」(1945年)を公文書で振り返る企画展が25日、国立公文書館(東京・千代田)で始まった。太平洋戦争末期の空襲から連合国軍占領統治下の民主化政策まで、終戦を挟んで社会が大転換した同年を公文書でたどることができる。昭和天皇が「玉音放送」で読み上げた「終戦の詔書」の原本が8月10~15日、特別公開される。

展示されているのは45年に起きた出来事や政府の決定に関連する公文書など33点(複製を含む)。企画にあたった鈴木隆春調査員は「終戦前後の資料を流れで見ることで、戦後70年の起点となった数カ月間のドラスチックな動きを読み取ってもらいたい」と話す。

3月の東京大空襲後、昭和天皇が被災地を行幸した際の計画について、松平恒雄宮内大臣が小磯国昭総理大臣に宛てた文書には「本件ハ秘扱トスルモ還幸後ニ於(おい)テハ一般ニ発表ス」との記載がある。天皇の安全を確保し混乱を避けるため、事後発表としたとみられる。行幸をイメージしやすいよう軍服姿の昭和天皇が焼け跡を歩く写真パネルを併せて展示した。

「感激スベキ善戦健闘ト官民不屈ノ協力敢闘トニ拘ラズ沖縄本島ノ守備遂ニ成ラズ」――。6月、沖縄本島が米軍に占領されたことを国民に知らせる「内閣告諭」の案文には国民の士気を鼓舞する言葉が並ぶ。当時の軍、政府の強い危機感が読み取れる。

8月9日の長崎への原爆投下後、長崎地裁の検事正は司法大臣への報告書を作成した。原爆を「落下傘付新型爆弾」と表現。閃光(せんこう)、熱風の状況や人的被害を克明に伝えた文書は変色し、傷みも目立つ。「官公庁といえども質の悪い紙を使わざるを得なかった。当時の物資欠乏を示す」(鈴木調査員)

連合国軍総司令部(GHQ)による占領統治が始まると、矢継ぎ早に民主化政策が打ち出された。治安維持法廃止の勅令案、財閥解体に関する「司令部覚書」など敗戦後の改革が急ピッチで進んだことを示す文書も多く展示されている。

「堪ヘ難キヲ堪へ忍ヒ難キヲ忍ヒ」などと昭和天皇が玉音放送で読み上げ、国民にポツダム宣言の受諾を告げた「終戦の詔書」の原本は8月10~15日の限定公開となる。公開を期間限定としたのは光や湿気で傷む恐れがあるためだ。宮内庁は玉音放送の原盤と音声を8月1日に公開することも決めている。

水野京子公文書専門官は「非常に貴重な資料で、多くの人に見てほしい」と話す。企画展は8月29日まで。日曜は休館。

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