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大阪都構想 審判の時 17日住民投票

大都市のあり方問う

 大阪市を5つの特別区に分割する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が17日に迫った。「東京都と23特別区」の関係をモデルに大阪府と市を再編するとしており、政令指定都市が廃止されれば戦後初となる。大都市制度のあり方が議論されるきっかけになる可能性もある都構想が実現すると何が変わるのか、デメリットはないか、構想のポイントをまとめた。

どう変わる→市を廃止、5特別区へ

都構想は、大阪市を廃止して新たに5つの特別区を設置するとともに、大阪市が政令指定都市として担っていた広域行政機能を大阪府に集約するという内容だ。5区は身近な住民サービスに特化し、東京都と23特別区の関係に近い形態になる。

手続きは2012年成立の大都市地域特別区設置法で定められた。府知事と市長、府市両議会の議員代表が参加した法定協議会が再編後の姿をまとめた協定書(構想案)を作成。両議会の承認を経て5月17日に大阪市民の住民投票が実施されることになった。

投票権を持つのは約211万人。投票率に関係なく、賛成が反対を上回れば17年4月1日に市はなくなる。特別区は市の内部組織だった従来の24行政区と異なり、選挙で選ぶ区長と区議会議員を置く。市の業務のうち、住民登録や子育て・福祉、小中学校教育などを担当。各区が児童相談所を設置するなど東京23区より権限を広げ、人口20万人以上の中核市並みの自治体にするとしている。

特別区が担う業務のうち、水道や国民健康保険などは一括運営した方が効率的だとして、5区が共同で「一部事務組合」を新設して運営する。

府に集約するのはインフラ整備や産業振興、防災・消防、大学など。市業務の一部移管に合わせ、財源の一部も府に移譲する。現在の法人事業税などに加え、固定資産税や法人住民税などが新たに府税になる。市職員のうち約2000人が府に移る。

「都構想」というものの、現行法では大阪府の名称は変わらない。「大阪都」にするには新たな法整備が必要だ。

目的は→二重行政の解消

大阪都構想は2010年、当時は大阪府知事だった橋下徹氏(現・大阪市長)が地域政党「大阪維新の会」を立ち上げた際、看板政策として掲げた。府と、政令指定都市の大阪市はいずれも広域行政にかかわり、双方が競い合って建設した高層ビルや大型開発事業が次々と破綻、巨額の負債を積み上げてきたとして、府市の再編で「二重行政を解消する」と訴えた。

大阪市役所前に設置された、住民投票を知らせる看板(大阪市北区)

橋下氏が統治機構改革に目を向けたのは08年。府のリストラの一環として、府市の水道事業を一元化して効率を高めようとしたが、当時の平松邦夫市長との協議が決裂したことがきっかけになった。

橋下氏らは都構想の実現によって都市再開発などの広域行政を迅速に進められる体制をつくり、「大阪と東京の2極で日本の成長を引っ張る」と主張。また、行政の効率化により「17年間で計約2700億円の財源を生み出すことができる」とする。

さらに特別区設置のメリットとして訴えるのが「ニアイズベター」という考え方だ。人口約270万人の大阪市は市長1人でカバーしているのに対し、人口がほぼ同じ京都府には「26人の市町村長がいる」と指摘。5区ごとに公選の区長や区議を置けば住民との距離が縮まるうえ、各区長が競い合うので住民サービスが向上すると強調している。

もっとも、都構想は当初、大阪市だけでなく、隣接する堺市も含めて一気に統合再編するというプランだった。しかし、13年の堺市長選で反都構想を訴えた現市長が当選したため、府と大阪市の再編を先行させることになった。大阪市が特別区に移行しても、府内には政令市の堺市がそのまま残る。

デメリットは→費用対効果に疑問

都構想は、大阪府市両議会の自民党、公明党、共産党、民主党の各会派が反対しており「大阪市をなくしたら元へ戻せない」と訴えている。

維新以外の各党が「無駄遣い」と指摘するのが移行コストの大きさだ。特別区移行には区役所庁舎建設やシステム改修など最大約680億円の初期費用が必要で、その後もシステム運用などに毎年約20億円かかると試算される。

維新は「コストよりも効果額の方が大きい」と主張するが、自民などは、市営地下鉄民営化など都構想と直接関係ないものが大半で「府市再編をしなければ生じない効果額は年間1億円だけ」という。

税収の一部の府への移管で、特別区の自主財源が現在の約6300億円から5区合計約1600億円と4分の1に減る点も「住民サービスの低下につながる」と問題視。

新たに府に帰属する税収の一部は、特別区間の財政格差を抑える目的で創設される「財政調整交付金」として各区に再配分されることになっているものの、反対派は「十分な金額が交付される保証はない」と主張する。

このため反対派は「組織を見直さなくても府市間の課題は解決できる」と強調。改正地方自治法で新設された府と政令市の「調整会議」の活用や、行政区を「総合区」に格上げして区長に予算提案権を持たせることの方が現実的だと提案している。

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