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老朽「被爆建物」保存を 広島の倉庫など、市が耐震補助

原爆投下から70年以上がたち、熱線や爆風に耐えて残った「被爆建物」の老朽化が深刻になっている。被爆者の平均年齢が80歳を超えて証言者が減る中、当時を物語る遺構として、広島では行政が保存に本腰を入れ始めた。

爆心地から南東に約2.7キロ、広島市南区の住宅や学校が集まる中に、れんが造りの大きな建物が4つある。旧日本陸軍が軍服などを作っていた「被服支廠(しょう)」の倉庫で、鉄の扉は原爆の爆風でひしゃげたままだ。被爆者らの救護所になり、原爆詩人として知られる峠三吉の詩にも登場する。

しかし建築から100年以上がたち、地震で壊れる恐れが出ている。広島県は、2017年度予算案で耐震性を調べるため約2200万円を計上したが、保存には巨額の費用が予想される。

市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会」の代表で、この場所で被爆した中西巌さん(87)は「原爆の証人であり、墓標のようなものだ。できるだけ保存してほしい」と話す。

広島市は、爆心地から5キロ以内に残る原爆ドームや旧日銀広島支店のほか、寺社などを「被爆建物」として登録しており、中には、現在も利用されている被爆トイレもある。100件以上登録されていた時期もあったが、老朽化や移転のために取り壊された建物もあり、現在は86件になった。

減少に歯止めをかけようと、広島市は耐震化工事に補助金を出している。爆心地から710メートルにあり、現在も営業している地元デパート「福屋八丁堀本店」も対象として検討されている。同店の担当者は「原爆からの復興のシンボルとして、これからも大切に使っていきたい」。

爆心地から約1.4キロの広島大旧理学部1号館は、一部を残して活用する方向で議論が進む。市の末定勝実・被爆体験継承担当課長は「実際に足を運んでもらい、72年前にあったことに思いをはせてほしい」と話している。〔共同〕

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