ピーナツ早期摂取でアレルギー抑制 英研究チーム
【ワシントン=共同】生後5~11カ月からピーナツを含む食品を取り続けた子供は、食べるのを避けていた子供に比べ、5歳の時点でピーナツアレルギーを発症するリスクが70~86%低かったとする疫学研究結果を、英研究チームが米医学誌に23日発表した。
研究対象としたのは開始時点でピーナツアレルギーはないが、アトピー性皮膚炎や卵アレルギーがあり、発症するリスクの高い子供たち。
チームは「アレルギーを恐れてピーナツの摂取を避けることには疑問がある」と指摘。卵など他の食品でも早く食べ始めることで発症を抑える効果があるかどうかは今後の研究課題だが、アレルギー予防の新たな指針づくりにつながりそうだ。
ロンドン大キングズ・カレッジのチームは、2006~14年に英国で11カ月未満の約640人を、ピーナツバターを含む食品を週に3回以上食べるグループと、食べるのを避けるグループに分けて追跡した。
5歳時点で発症した割合は、食べるグループが2~11%なのに比べ、食べないグループが14~35%と高かった。統計的な発症リスクは、食べるグループが70~86%低いという結果になった。
欧米では最近10年で子供のピーナツアレルギーの比率が倍増。英国や米国では一時、幼児や妊婦にアレルギーの原因食品の摂取を避けるよう勧める指針が出たが、効果が不明なため取り下げられた経緯がある。
日本では厚生労働省の研究班が「正しい診断に基づき摂取を避ける食品は必要最小限にする」との手引きを出している。