武田泰淳作品、上海に 特攻隊描いた「神鷲」 研究者が発見

2017/8/23 10:48
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戦後派文学を代表する作家で、小説「ひかりごけ」で知られる武田泰淳(1912~76年)が、日中戦争末期の中国・上海で執筆した作品があることが23日、分かった。神風特攻隊を題材としており、奈良大の木田隆文准教授(日本近代文学)が、上海図書館所蔵の書籍「神鷲」に掲載されていたのを確認した。

武田は当時、上海の「中日文化協会」で翻訳の仕事に携わっていたが、現存する資料が乏しく、具体的な活動はほとんど知られていなかった。木田准教授は「武田の創作的原点を示す貴重な資料」と話している。

書籍「神鷲」は非売品で、45年4月に刊行。戦意高揚を目的に、現地紙「大陸新報」などが特攻隊をテーマにした短歌や俳句などを募集し、その入選作をまとめた。

武田は同書の編集委員を務めており、書籍と同名の「神鷲」というタイトルで約900文字の文章を寄稿。文中で「神鷲(特攻隊)は徹底して無欲である」「実におどろくべき科学的正確さで『死』行為を遂行した」などと書いていた。

一方、武田は作品の末尾で特攻隊について感得するには、報道や宣伝は必要ないとも記した。木田准教授は「この書籍の必要性を否定しており、軍への協力を装いながら、翼賛的な目的を脱却させようとしたのではないか」と分析している。

木田准教授は「大陸新報」の記事から、書籍「神鷲」の刊行に武田が関わっていたことを把握。昨年3月に上海図書館に残されていた1冊を閲覧し、武田の作品を見つけた。〔共同〕

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