三陸の海でウニ大量発生、海藻の食害深刻 身も少なく

2017/3/28 12:50
保存
共有
印刷
その他

東日本大震災の津波で環境が変わった三陸の海で、ウニの異常な大量発生が起きている。身の入りが悪く売り物にならない上、海藻を食べ尽くして「磯焼け」が生じ、隠れ家や産卵場所を失った魚まで数を減らす結果に。豊かな海を復活させようと、地元の漁師らが取り組みを続ける。

ウニの大量発生によって、海底の海藻が食べ尽くされた(2月、宮城県南三陸町沿岸)=共同

ウニの大量発生によって、海底の海藻が食べ尽くされた(2月、宮城県南三陸町沿岸)=共同

「ウニは海藻の茎をかじって倒し、根こそぎ食べるんです」。東北大の吾妻行雄教授(水圏植物生態学)が解説する。

吾妻教授によると、岩手県釜石市から宮城県女川町にかけての沿岸で震災後、岩肌がむき出しになる磯焼けが深刻化している。大量発生したキタムラサキウニの食害によるもので、海藻が茂り多くの魚介類が姿を見せたかつての光景は様変わりしている。

大量発生は、強力な津波でひっくり返った岩に稚ウニの餌となる1ミリ未満の藻類が生えたことなど、さまざまな原因が考えられるという。成長後はアラメやコンブといった大きな海藻を食べ尽くし、栄養を十分摂取できず中身がすかすかになる負の連鎖が起きている。

養殖するウニに餌をやる高橋さん(2月、宮城県南三陸町)=共同

養殖するウニに餌をやる高橋さん(2月、宮城県南三陸町)=共同

海藻を守るためウニを取り除いて「駆除」するとともに、養殖で身を大きくして出荷できないか。「一石二鳥」の対策を模索するのは、宮城県漁業協同組合歌津支所(同県南三陸町)の高橋栄樹さん(35)だ。海中につるしたかごの中で一定期間育てる実験を2014年から重ねる。

餌はコンブや魚肉を配合した人工飼料。12年にノルウェーの養殖技術を学ぶプログラムに参加し、現地でウニ養殖に使われていることを知った。実験は当初、輸入品の飼料を使い、今はノルウェー政府から技術提供を受けた宮城県塩釜市の業者の餌を購入している。

課題は多い。採ったウニを3カ月の養殖で身が入るようにする技術は確立したが、味は天然物に及ばない。

養殖かごを扱うのも一苦労だ。5段重ねのかごの総重量は50キロ。そこに計50キロのウニを入れる。週に1度の餌やりで、船上で養殖かごを持ち上げたり下ろしたりするのは、かなりの重労働になる。

それでも磯焼けが解消すれば、藻場に小魚やアワビなどが戻ると信じて実験を続ける。高橋さんは「業者と一緒に餌を改良し、来年には出荷できる水準にしたい。子や孫の代まで豊かな海を受け継ぎたい」と語った。〔共同〕

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]