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原発避難で東電に再び賠償命令 地裁、国の責任否定

福島第1原子力発電所事故で、福島県から千葉県に避難した18世帯45人が、国と東京電力に計約28億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、千葉地裁であった。阪本勝裁判長は「国が東電に対策を取らせなかったのは著しく合理性を欠くとはいえず、違法ではない」として国の責任を否定した。東電への請求の一部は認め、計約3億7600万円の賠償を命じた。

原発事故集団訴訟の判決を受け、千葉地裁前で垂れ幕を掲げる原告側弁護士ら(22日午後、千葉市中央区)

全国約30の同種訴訟で2件目の判決。3月の前橋地裁判決は国にも賠償を命じており、判断が分かれた。10月10日には福島地裁で、約3800人の原告による最大規模の訴訟の判決がある。

今回の訴訟では、国が巨大津波を予見し、規制権限を行使して東電に必要な安全対策を取らせることができたかが最大の争点となった。

阪本裁判長は判決理由で、2002年に政府機関がまとめた巨大地震の「長期評価」によって「国は遅くとも06年までに10メートル超の津波が発生し得ることを予見できた」とし、規制権限があったことは認めた。

しかし、「長期評価の信頼性には異論があり、国や東電が想定し得るリスク全てに資源を費やすのは現実には不可能だ」と指摘。原告側が訴えた津波被害の防止策については「仮に実施しても事故に間に合わないか、事故を回避できない可能性もあった」と述べた。

国の審査会の指針をもとに東電が定める賠償額の妥当性も争われた。原告側は避難に伴う慰謝料に加え、故郷の人間関係などを失ったことに対する1人当たり2千万円の「ふるさと喪失慰謝料」を請求。国と東電は「精神的損害の慰謝料は指針に基づいて支払い済みだ」と反論していた。

判決は「ふるさと喪失慰謝料と呼ぶかどうかはともかく、地域のコミュニティーや長年住み慣れた家での生活を失った精神的損害は賠償の対象となる」として、国の指針を上回る慰謝料を一部で認定。土地や家財道具の損害なども個別に検討し、原告42人に約7200万~33万円を支払うよう東電に命じた。

東京電力ホールディングスは「判決内容を精査し、対応を検討する」とコメントした。

3月の前橋地裁判決は国と東電の予見可能性を認め、国が対策を取らせなかったのは違法とした。賠償請求の一部を認め、国と東電に計3855万円の支払いを命じた。原告の一部と被告側が控訴している。

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