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GPS捜査はプライバシー侵害か? 最高裁大法廷で弁論

裁判所の令状なしで全地球測位システム(GPS)を使う捜査の違法性が争われた窃盗事件の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は22日、検察側と弁護側の双方の意見を聞く弁論を開き、結審した。地高裁レベルで判断が分かれており、GPS捜査に令状が必要かどうかについて初の統一判断を示すとみられる。判決期日は後日指定される。

GPS捜査の違法性に関する主な司法判断
一審二審
大阪地裁
(15年6月)
違法
「プライバシー侵害に当たる」
大阪高裁
(16年3月)
適法
「プライバシー侵害の程度は大きくない」
→大法廷に回付
名古屋地裁
(15年12月)
違法
「プライバシー侵害に当たる」
名古屋高裁
(16年6月)
違法
「プライバシー侵害に当たる」
→上告中
広島地裁福山支部
(16年2月)
適法
「プライバシー侵害とは言えない」
広島高裁
(16年7月)
適法
「プライバシー侵害とは言えない」
→確定

GPS捜査が重大なプライバシー侵害にあたるかどうかなどが争点。弁護側は令状の必要な「強制捜査」だとし、検察側は不要な任意捜査だと主張している。GPS端末で対象者の行動を把握する捜査は広く行われているとされ、最高裁の結論は警察の捜査に影響を与える。

弁論が開かれたのは、関西を中心とする連続窃盗事件で起訴された男(45)の上告審。捜査員が男や共犯者の車やバイク計19台に、令状を取らずにGPS端末を取り付け、位置情報を断続的に取得していた。

検察側は弁論で、令状がいらない張り込みや尾行を越えるほどのプライバシー侵害はないとした。弁護側は、GPSで個人の行動を監視することは重大なプライバシーの侵害にあたるとし、令状を取らない捜査が違法だとした。

また、弁護側は「曖昧なルールでは権力による行動の監視を制御できない」として運用ルールを定める新たな立法が必要だと主張。検察側は「仮に強制捜査にあたるとしても、現在の刑事訴訟法の仕組みで使用できる」と反論した。

一審・大阪地裁は、捜査員がGPSのバッテリー交換のために無断で私有地に立ち入ったことなどを問題視し、「プライバシーを大きく侵害する強制捜査にあたる」と判断した。GPS捜査で得た証拠を排除したうえで、残る証拠から実刑とした。二審・大阪高裁判決は令状が必要かどうかに言及せず、「重大な違法はない」と判断した。被告側が上告した。

令状のないGPS捜査をめぐっては、昨年6月に名古屋高裁判決が一審に続いて「違法」と指摘し、新たな立法措置の必要性にも言及した。一方、昨年7月の広島高裁判決は任意捜査の範囲内と認めるなど、司法判断が分かれている。

今回の事件をめぐっては、最高裁が昨年10月、15人の裁判官全員が加わる大法廷で審理することを決めた。大法廷は憲法判断や判例変更のほか、重要な論点が含まれる場合にも開かれる。

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