ヘイトデモ35件に半減 対策法1年、発言「工夫」認定逃れも
ヘイトスピーチ対策法は、24日に成立1年を迎える。差別をあおるなどの右派系市民グループによるデモは、警察庁によると、昨年6月3日の施行から今年4月末までに35件を確認し、前年同期の61件からおよそ半減した。ただ、ヘイトとの認定を避けるため、発言を「工夫」する動きがあり、法の限界を指摘する声もある。
対策法は、国外出身者への差別意識を助長する著しい侮辱などを「許されない」と明記。国や自治体に差別解消への取り組みを求めている。禁止規定や罰則はない。
警察庁の担当者は取材に「デモの減少は、法施行と社会的議論の高まりが原因ではないか」と推察する。しかし、ヘイトデモの実態調査をしている北村聡子弁護士は10日に国会内であった集会で「ヘイトに認定されないよう発言を工夫している」との結果を報告した。
東京や埼玉県川口市、福岡市のデモでは「朝鮮死ね」とプラカードに書いたり、「日本海に入ってください」と叫んだりしたという。北村氏は「文脈や意味合いを考慮するべきだと法務省も提示している。自分が標的だと受け止め傷つく人がいる限り、これらもヘイトだ」と指摘した。
関連キーワード