障害者の旅、自由に快適に NPOが普及へ活動
障害者や高齢者が気軽に快適な旅行を楽しめるよう配慮して、コーディネーターが宿泊施設や移動手段などを手配する「ユニバーサルツーリズム」が注目されている。2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、国も普及に向けて後押しを始めた。
兵庫県洲本市の津村文子さん(67)と全盲の夫、博次さん(70)は今年2月、重度の障害がある観光客を支援してきた民間組織「神戸ユニバーサルツーリズムセンター」(神戸市)が、淡路島で実施したモニターツアーに参加した。
博次さんは、訪れた温泉街のホテルで介護事業所から男性ヘルパーを派遣してもらい、ゆったりと入浴を楽しめた。
ユニバーサルツーリズムは、障害の有無や年齢に関係なく、使いやすい施設や道具を設計する「ユニバーサルデザイン」の考え方を旅行の分野に応用した取り組み。手数料は掛かるが、介助の必要な利用者にとってはヘルパー分の旅費が不要な上に、現地での煩雑な調整の手間が省ける。
淡路島のモニターツアーには電動車いすを使う神戸市の鞍本紗綾さん(36)も参加。ホテルのレストランでは手が動かしにくい紗綾さんのためにフォークやスプーンなどを複数種類、用意する細やかな配慮があり、食事と会話を楽しんだ。
観光庁によると、全国で20余りのNPO法人などが活動。同庁はモデル的な運営形態を探るための調査費として14年度、秋田、石川、広島、大分、鹿児島各県の計6団体に年間200万~300万円を支給。15年度は5団体への支給を決めた。〔共同〕
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