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「命を犠牲に働かないで」 過労死遺族ら中高生に出前授業

過労死で家族を失った遺族や支援する弁護士が、中学生や高校生らに自らの経験を伝え、働き過ぎのリスクや問題点を解説する出前授業が始まった。電通の新入社員過労自殺に象徴されるように、若者の過労死は後を絶たない。遺族らは「命を犠牲にしてまで働かないで」と訴えている。

「3年生は2001年生まれだね。その頃、月150時間も残業が続き若者が過労死しました」。2月上旬、東京都新宿区の海城中学。過労死問題に取り組む山下敏雅弁護士は約30人に話し掛けた。

「法律では1日何時間働けるか」。山下弁護士が尋ね、生徒は「8時間」と答えた。しかし、どれだけ働くと危険なのかは思い描けない。山下弁護士は「過労死ライン」という水準があり、1カ月の残業80時間が目安だと説明。平日に毎日、朝9時から夜10時すぎまで働くとこの時間に達することを伝え、「君たちの親が何時まで働いているか思い出して」と自分に引きつけて考えるよう促した。

3年男子は「父は10時すぎの帰宅が多い。疲れているようには見えないが、無理しているのかも」と不安げに話した。

国は14年、過労死等防止対策推進法を施行し、対策の一環として昨年9月から出前授業を始めた。今年3月までに87回実施し、遺族らは「『1日8時間労働』などの労働ルールを学ぼう。つらい時は医師らに相談してほしい」と伝えている。17年度は200回ほど実施する予定だ。

若者を巡る職場環境は厳しい。うつ病などの精神疾患となり、15年度に労災認定された472件のうち、20代が18%、30代が29%を占めた。

「息子は責任感が強く、月の半分は深夜0時すぎまで働き、37時間連続の勤務もあった。27歳でなぜ命を奪われなければならなかったのか」

IT(情報技術)企業に勤めた息子を亡くした神戸市の西垣迪世さんは、関西を中心に講演を続けている。

過労で死ぬと初めて知った大学生は当初、「働くのは怖い」と動揺を隠せなかった。だが就職についてじっくり考えるようになり、西垣さんに「まずは働いてみる。過酷な環境だったら教わったことを生かし自分の身を守る」と感想を寄せた。

西垣さんは「若い人に『命を犠牲にしてまで無理に働くことはない』と知ってもらえるなら、つらい経験だが多くの人に伝えたい」と話した。〔共同〕

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