2017年12月12日(火)

慣用句、誤用が定着 「存亡の危機」元首相も演説で

2017/9/21 19:59
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 「存続するか滅亡するかの重大な局面」を意味する慣用句として「存亡の危機」を使う人が83%に上ることが21日、文化庁の2016年度の「国語に関する世論調査」で分かった。辞書などに記載があり、本来の言い方とされる「存亡の機」を使う人は7%にとどまった。

 戦後50年となる1995年にアジアの国々に「おわびの気持ち」を示した村山富市首相(当時)談話のほか、小泉純一郎首相(同)が2006年の施政方針演説で使うなど、誤った言い方がほぼ定着した格好だ。

 10代後半から60代までどの年代でもほぼ同様の傾向だった。「存続の危機」などと混同しているとみられるが、文化庁国語課の担当者は「『存亡の危機』は広く使われており、誤用というのは難しい」と指摘した。

 「卑劣なやり方で、失敗させられること」を意味する言葉としては「足元をすくわれる」を使う人は64%で、本来の「足をすくわれる」は26%にとどまった。

 「話のさわり」という表現の意味を聞く質問でも本来の「話の要点のこと」と答えた割合は36%で、「話の最初の部分のこと」と答えた人が53%と上回った。

 「ぞっとしない」という表現では「恐ろしくない」という意味だと答えた人が56%で、本来の意味である「面白くない」とした人は23%だった。

 いずれも若年層ほど辞書にない言葉を使う傾向があった。

 文化庁は慣用句などの年代別の使われ方も調査。「心が折れる」は20代で76%が利用する一方、60代は27%、70歳以上では18%しか使っていなかった。かつて漫画の描写から生まれた「目が点になる」は50代で70%が使うが、20代は51%、16~19歳では37%だった。

 日本大学の田中ゆかり教授(社会言語学)は「若い人たちの間で誤用や新しい使い方が広がるのはやむをえない」としたうえで、こうした調査結果について「言葉に関心を持つ機会にしてほしい」と期待した。

 調査は今年2~3月、全国の16歳以上の男女3566人を対象に個別面接で実施。有効回答数は2015人だった。

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