ワニもヘリウムガスで変な高い声に 京大など発声法解明
中国原産のヨウスコウワニが哺乳類と同様、声帯の上にある器官「声道」で空気を共鳴させて発声していることを京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)などの研究チームがヘリウムガスを使った実験で22日までに突き止めた。声色を変えるおもちゃの市販用ヘリウムガスを使った人と同じように、ワニのうなり声も変な高い音になった。
声道による発声は爬虫(はちゅう)類で初の発見としている。京都大の西村剛准教授(自然人類学)によると、ワニと分類上近い恐竜も同様の方法で発声していた可能性が高く「生物が音声言語をどのように獲得したかを考える上で重要な発見だ」と話している。
人は声帯を振動させ、声帯から唇までの声道の空気を共鳴させることで声を出す。ワニなど爬虫類も体の構造から同じ発声法とみられていた。
雌のヨウスコウワニ1匹が入る水槽にヘリウムガスと酸素を充満させ、うなり声を録音。約400ヘルツの音声が倍の約800ヘルツになり、高い声に変わったことから、人と同じ仕組みで発声していると判断した。西村准教授は「密度の低いヘリウムガスが空気の共鳴に変化を与えた結果、音声が高くなったのだろう」と推測している。〔共同〕