福島の高校生、NYフィル楽団員と共演
【ニューヨーク=共同】東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故で被災した福島県の高校の吹奏楽部員8人がニューヨークで20日、自分たちで編曲した童謡「ふるさと」を披露した。世界的なオーケストラ、ニューヨーク・フィルハーモニックの楽団員数人とともに総合芸術施設で演奏、200人を超える聴衆の拍手を浴びた。
8人は復興を担う人材の育成を目指して昨年開校した福島県立ふたば未来学園高の生徒たち。演奏前「ふるさとに帰れないつらさ、悲しさを分かってほしい」「震災で多くを失ったが、新しい出会いもあった」など、曲に込めたそれぞれの思いを説明した。
生徒たちは、大震災後に日米の官民が始めた「TOMODACHIイニシアチブ」と、サントリーホールディングスの支援で16日からニューヨークに滞在。子供や若者を対象にした同フィルの作曲指導プログラムに参加したり、楽団員らの教えを受けたりした。
原発事故で同県富岡町の自宅に住めなくなり、いわき市での生活が続くという2年生の遠藤一成さん(16)は「一流の演奏家たちに触れ、貴重な機会だった」と目を輝かせた。編曲を指導してきた福島大の嶋津武仁名誉教授は「福島の現状を懸命に伝えた経験は、子供らの将来に役立つと確信している」と話した。
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