15年度の税務訴訟件数半減 04年度比、手続き明確化

2016/6/20 21:08
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国税当局から所得隠しや申告漏れを指摘された企業や個人が、処分を不服として裁判で争う件数が減っている。国税庁は20日、2015年度に提起された訴訟(控訴や上告含む)は231件だったと発表した。前年度から6件減り、04年度(計552件)の半分以下だった。手続きが明確になったことなどが背景にある。

内訳は所得税関連が85件、法人税関連が38件など。また国税不服審判所長に対する審査請求は2098件だった。過去最低だった前年度より3.3%増えたが、11年度(3581件)の6割程度の水準となっている。

企業や個人が申告した所得や税額が少ないと、税務署長は追徴課税などの処分を下す。不服がある場合は再調査や国税不服審判所長への審査請求を経るなどし、最終的に訴訟となる。

減少の背景にあるのは税務調査のルールの明確化だ。13年から調査対象や期間をあらかじめ伝えたり、処分理由を文書で伝えたりすることが法律で義務化された。以前は理由をはっきり書面で示さないまま追徴金額だけ示し、納得できない納税者が訴訟を起こすことも多かったという。

税務訴訟に詳しい山下貴税理士は「改正後、税務調査が丁寧になった。1件の処理にかかる期間も長くなっている」と話す。鳥飼総合法律事務所の高田貴史・税務部長は「感情的な対立を基にした訴訟が減り、当局も法令解釈を巡る重要事案などに力を注げるようになった」と評価する。

国税当局の態度の変化も指摘される。税務訴訟に詳しい弁護士は「大型税務訴訟の敗訴が続き、国税当局が慎重になっている」とみる。

2月には東京国税局から申告漏れを指摘された日本IBMの持ち株会社が訴えた訴訟で約1200億円の課税を取り消す判決が確定。武富士(現在は更生会社TFK)創業者の親族への課税でも11年に国が敗訴し、利子を含め約2千億円の巨額還付となり話題を呼んだ。

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