東大論文「不正の疑い」 調査委が報告書案
東京大の分子細胞生物学研究所の渡辺嘉典教授が発表した5本の研究論文について、画像の加工など不正の疑いがあったとする報告書案を東大の調査委員会がまとめたことが20日、関係者への取材で分かった。東大は既に渡辺教授に内容を伝え、実験や論文執筆の経緯について事情を聴いており、近く最終報告書を公表する。
渡辺教授はこれまでの取材に「自分の責任で起きたこと」と述べ、論文の取り下げや図表の修正を検討していると明らかにした。
5本の論文は細胞分裂の仕組みに関するもので、2008~15年にネイチャーやサイエンスなど世界的な科学誌に掲載された。
関係者によると、調査委が調べた結果、異なる条件で行った実験結果を比較するための画像を加工するなど、不正の疑いが認められたという。
東大では、渡辺教授を含めた生命科学系や医学系の教授6人を責任著者とする計22本の論文に不正の疑いがあるとの告発があり、外部の有識者らで構成する調査委が調べていた。〔共同〕