生徒の情報流出防げ SNS利用など文科省が指針策定
文部科学省は学校の情報管理指針案を初めてまとめた。教員や児童生徒が情報機器や交流サイト(SNS)を安全に利用するための手立てを示した。教育委員会ごとにルールを作成してもらい、個人情報の流出や学校アカウントの乗っ取りなどのトラブルを防ぐことが狙い。8月2日まで意見を公募し、同月中にも定める。
指針案は「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」。それによると、児童生徒には「モバイル端末やUSBメモリーなどを持ち出す時は担任の許可を得る」「自分のIDを他人に使わせない」などを指導。送り主やタイトルに不審な点のあるメールは、開く前に担任に報告するとした。
教職員には、業務以外の目的でのウェブ閲覧を禁止。業務に無関係のサイトの閲覧によるウイルス感染や、不適切なネット上の書き込みなどが問題化する事態を防ぐ。
SNSを利用する際はアカウントの説明を書き込む欄に学校のホームページのアドレスを載せるなどして運用組織を明示し、第三者によるなりすましを防ぐ。パスワード管理の徹底も求めた。
教員の業務負担軽減などのため、学校現場では情報機器やシステムの導入が進んでいる。一方で個人情報が記された電子データの紛失などで2015年度に62人の教員が処分を受けるなど、情報管理の強化が課題だ。
文科省によると、学校を対象にした情報管理の基本方針を定めている教委は64%(策定中含む)にとどまっており、「学校で情報セキュリティー対策の考え方が確立しているとは言い難い状況」(同省)。このため具体的な対策を盛り込んだ指針を示すことで迅速な対応を促す。