遠野の民話、「萌え」で発信 語り部目指す美少女を主人公に
民俗学者、柳田国男の「遠野物語」の舞台として知られ、数多くの民話が伝わる岩手県遠野市が、民話の語り部を目指す美少女を主人公にした「萌え」アニメを作り、話題を呼んでいる。担当者は「遠野が受け継いできた豊かな文化を発信したい」と話している。
2013年、柳田の死後50年が過ぎ著作権が切れた。自由な表現で作品を使いやすくなり制作したのが、語り部に光を当てた10分アニメ「語りべ少女ほのか」だ。祖母のような語り部を目指す小学5年のほのかが、遠野物語に登場する座敷わらしやかっぱ、てんぐとの触れ合いを通じ、成長していく姿を描いた。
スタッフの顔触れも豪華で、子どもに大人気のアニメ「妖怪ウォッチ」のスタッフが妖怪をデザイン。ほのかの声は、岩手県出身の人気声優、桑島法子さんが担当し「むがーし、あったずもな!」と、遠野市民に監修を受けた地元の方言で、生き生きと民話を語る。
遠野市では、子どもから大人まで民話の世界観が浸透し、小学校では語りの発表会があるほど。遠野文化研究センターの学芸員、前川さおりさんは「遠野の人々が当たり前にやっている語りは日本文化の中で大きな価値がある。そのことを地元の人にも外の人にも知ってほしい」と話す。
アニメは公式ホームページから無料で楽しむことができる。アニメ好きの外国人向けに英語の字幕を準備中で、道の駅やイベントでの上映も計画している。〔共同〕