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南海トラフ津波火災270件、名大予測 22都府県で発生

南海トラフ巨大地震が発生した場合、津波を原因とする「津波火災」が首都圏から九州の22都府県で計約270件発生する可能性があるとの予測を名古屋大減災連携研究センターの広井悠准教授(都市防災)が19日までにまとめた。内閣府が発表した南海トラフ巨大地震被害予測は、津波火災には具体的に触れていない。今回は、東日本大震災で起きた津波火災のデータに基づく予測式を用い、東海地方が特に大きく被災する地震のパターンで試算した。

広井准教授は「油の漏洩防止や避難施設の防護など、延焼を食い止める対策を考えなければならない」と話している。

津波火災発生の最多は静岡の54件で、三重43件、宮崎37件、高知35件、和歌山28件、大分20件、愛媛16件と続く。

津波火災は、流された車が衝突して火花が出たり、壊れた建物内の暖房器具から出火したりした上、車のガソリンや石油タンクから流出した油に引火して起きる。消火が難しく、広範囲に延焼する恐れがある。

広井准教授らは、東日本大震災後、被災各地の消防本部への聞き取りや現地調査を実施し、岩手、宮城、茨城など6県で計159件の津波火災が起きたとの結果をまとめている。この結果を基に、浸水する建物の数、プロパンガス使用率、世帯当たりの自動車所有台数などから津波火災の発生数の予測式を作成した。

南海トラフ地震の予測は、東海地方が特に大きく被災し最大約32万3千人が死亡するとの内閣府の地震想定を当てはめ、約270件の津波火災が起きると算出した。

港湾施設のタンクなどから多量の油流出などがなければ93件程度まで抑えられるとの結果も出た。震源域などのシナリオによっては、発生数や分布も変動するとみられる。

広井准教授は「南海トラフ巨大地震の被災想定地域は都市部が多く、建物の密集度が高い。津波火災の影響も大きいため、事前の対策が必要だ」と話している。〔共同〕

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