新出生前診断、3万人超す 染色体異常の9割中絶
妊婦の血液から胎児のダウン症などを調べる新出生前診断を受診した人は、検査開始から3年間で3万615人だったとする集計を、各地の病院でつくる研究チームが19日までにまとめた。1年目に8千人弱だった受診者は2年目に1万人を超え、3年目は約1万3千人となり、利用が拡大している実態が明らかになった。
診断できる医療機関が2013年4月の開始時に15施設だったのが、現在は71に増えたことなども受診者数を押し上げた。
染色体異常の疑いがある「陽性」と判定されたのは547人。さらにおなかに針を刺す羊水検査に進んで異常が確定したのは417人で、うち94%に当たる394人が人工妊娠中絶を選択した。
陽性とされながら、確定診断で異常がなかった「偽陽性」も41人いた。
集計をまとめた昭和大の関沢明彦教授は「検査に伴うカウンセリングの改善など、成果は病院グループで共有している。臨床研究から一般診療に移行するか、今後の在り方を議論すべき段階に来ている」と話した。
新出生前診断は、十分に理解しないまま安易に広がると命の選別につながるという指摘もあり、日本医学会が適切なカウンセリング体制があると認定した施設を選び、臨床研究として実施されている。
▼新出生前診断 妊娠10週以降の早い時期に、妊婦の血液に含まれるDNA断片を解析し、胎児の3種類の染色体異常を高い精度で調べる検査。ダウン症や心臓疾患などを伴う染色体の異常を判定するが、確定診断には羊水検査が必要となる。2013年4月、日本医学会が認定した15の医療機関で臨床研究として始まった。
〔共同〕