全国3万校で学力テスト 10年目、指導活用広がる

2016/4/19 13:22
保存
共有
印刷
その他

小学6年生と中学3年生を対象にした文部科学省の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト、学テ)が19日、全国で行われた。学テは2007年度に始まり、今回で10年目。政治判断による方式の変更など曲折を経ながらも、自治体の間ではテストを指導に生かす取り組みが定着してきた。一方で、結果の公表や活用を巡る問題もたびたび浮上している。

全国学力テストに臨む児童(19日午前、都内の小学校)

全国学力テストに臨む児童(19日午前、都内の小学校)

東京都内の小学校では午前8時50分からテストが始まり、約40人が最初の国語に取り組んだ。

今回の学テには14日時点で国公私立の計約3万校、218万人が参加を予定。同日以降の地震で熊本県全域で中止され、大分県では3市町の公立小中30校、宮崎県では4町村の公立中7校が実施を見送った。

実施教科は国語と算数・数学。基本的な知識をみるA問題と活用力を測るB問題が出された。

学テは学力低下への批判を受け、05年に導入が決定。1956年開始の旧学テが学校間競争の行き過ぎを招いて66年に中止されたことを踏まえ、「学習成果を検証し指導の改善に役立てる」という狙いを明確に掲げた。

当初は全員参加だったが民主党政権下の10年度から抽出方式となり、自民党の政権復帰で13年度から再び全員参加に。11年度は東日本大震災の影響で事実上中止された。

国語と算数・数学に加え、12年度から理科を3年に1度実施。19年度からは、英語も中3を対象に複数年に1回のペースで行う予定だ。

多くの自治体で学テの活用が定着している。成績が例年上位の福井県は毎年冬に小5と中2向けに県独自のテストを実施。課題を重点指導し、半年後の学テで改善されたかを確かめている。担当者は「学力の定着度が分かり、課題の発見から指導、改善という好循環につなげられている」と話す。

一方、静岡県では14年度に成績が全国平均を上回った小学校の校長名などを知事が教育委員会の同意なく公表。大阪府では15年度、府教委が結果を公立高入試の内申点の補正に使う意向を示し、文科省が「目的外利用だ」と批判した。いずれのケースでも同省はテストの実施要領を見直し、翌年度から禁止した。

■教育施策に活用すべき
耳塚寛明・お茶の水女子大教授(教育社会学)の話 多くの自治体の教育振興基本計画に学テの活用が盛り込まれ、教育成果を確認する手段として定着している。知識を実生活での応用につなげる教育が重要だという学力観の転換にもつながった。結果の分析から家庭環境と学力差の関係も分かっており、貧困層への重点支援など国の教育施策にもっと活用していくべきだ。
■点数至上主義は改めを
田中博之・早稲田大教授(教育方法学)の話 経験に基づく指導が中心だった教育現場に計画・実行・評価・改善のPDCAサイクルが浸透したことは学テの大きな成果だ。一方で平均正答率を上げるために過度な対策をとる自治体も依然としてある。地方議員や教育委員の一部には点数至上主義の意識が残っており、理念や狙いをこれまで以上に周知する必要がある。
保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]