豊洲売買交渉、解けぬ謎 元市場長は正当性訴え
都議会百条委

「瑕疵(かし)担保責任を放棄したとは考えていない」。18日開かれた東京都議会の百条委員会で、豊洲市場の土壌汚染対策費を巡って東京ガスと交渉した都の元幹部は交渉に問題はなかったと主張した。東ガスの負担が限定された経緯を追及する議会側とは問答がかみ合わない場面が目立ち、終了後には都議や傍聴人から「不明な点が多い」と不満が漏れた。
百条委は午後1時に開始。証人の元中央卸売市場長4人は「真実を述べ、何事も隠さず、何事も付け加えないことを誓います」と宣誓し、横1列に並んで着席。扇形に座った都議が向き合った。委員会は休憩を挟みながら午後8時半ごろまで続いた。
都議側が主に矛先を向けたのが土地売買契約を結んだ際の瑕疵担保責任の放棄。これにより売却後に土壌汚染対策費が膨らんでも、東ガス側には新たな負担が生じないことになった。都議側からは「放棄を副知事、知事に説明したのか」「土壌汚染に東ガスの責任はないと判断した理由は」といった質問が相次いだ。
これに対し、元市場長の岡田至氏は「何度も言いますが、瑕疵担保責任を放棄したとは考えていません」と声のトーンを強めて反論。向かいに座る都議らはふに落ちない表情で眉をひそめたり、首を振ったりした。
岡田氏は、東ガスは売買交渉の時点で一定の土壌汚染対策をしており、瑕疵担保責任は「履行済み」だったと主張。「あの段階で合意を結んだことは妥当だった」と述べた。都に不利な契約だったとして問題視する質問とはかみ合わず、都議が「(瑕疵担保責任を)放棄したと考えたくないのだろう」と批判する場面もあった。
一方、元市場長の森沢正範氏は東ガスによる土壌汚染対策の範囲などを決めたプロセスについて聞かれると「知事本局や環境局が中心になってやっていた。我々はそれに対して必要な資料を提供していた」と説明。契約が結ばれた経緯は不透明なままに終わった。