受精卵ゲノム編集、学会側が審査委解散 内閣府に意向
遺伝子を自在に改変できる最新技術「ゲノム編集」をヒトの受精卵に使う基礎研究を巡り、日本人類遺伝学会など4学会は研究の可否を審査する委員会を解散する意向を内閣府に伝えたことが18日、明らかになった。学会側は「国の意向で審査体制を築いたのに、学会が自主的にやっていると受け取られているため」と話している。
審査がなくなると、受精卵をゲノム編集技術で改変する基礎研究が進まない可能性や規制がないまま実施される恐れがある。
国の生命倫理専門調査会は、ゲノム編集でヒト受精卵を操作することを基礎研究に限り認めている。国の指針ではなく、学会主導で実施に必要な体制を早期に整えることになっていた。
10日に開かれた調査会で、日本人類遺伝学会の松原洋一理事長がゲノム編集を受精卵に施す基礎研究を審査する合同委員会を3月に立ち上げたと報告していた。しかし国の支援が明確ではなく、学会側が不信感を募らせたとみられる。
内閣府は「もともと国と協力しながら学会に審査してもらうことになっている」と突然の通告に驚いており、今後審査体制の継続に向け、学会側と協議する方針だ。