科学研究助成で若手に配慮 文科省、アイデア重視で応募促す
科学技術・学術審議会(文部科学相の諮問機関)の専門家会合は17日、研究者を支援する「科学研究費補助金(科研費)」の大幅な見直し案をまとめた。若手研究者に助成金が配分されるように、研究実績ではなく、自由な発想にもとづく研究を重視することなどが柱。制度の大幅見直しは半世紀ぶりとなる。文科省は2017年度から順次、改革を実施する。
科研費は大学や国立研究開発法人の研究者が主な支援対象で、国内の基礎研究を支える制度といわれる。今年度の予算は2273億円。東京工業大学の大隅良典栄誉教授や京都大学の山中伸弥教授らも科研費の獲得をきっかけにノーベル賞につながる研究を始めた。
改革案では、実績に乏しい若手でも応募できるように、アイデアの斬新さを重視する「挑戦的研究」という新たな枠を設け、審査方法も改める。400以上に細分化した研究分野を300ほどに減らす。専門的な審査ができる一方で、既存の研究分野に縛られるとの批判に対応する。
日本の基礎研究は全体的に停滞気味で、大隅栄誉教授は若手への支援強化を訴えていた。文科省は科研費で挑戦的な研究を支援し、ノーベル賞級の発見や発明につなげたい考えだ。
▼科学研究費補助金(科研費) 大学や研究機関の研究に出す国の補助金。人文・社会科学から自然科学まですべての分野が対象となる。研究者が応募し、日本学術振興会が審査して助成を決める。公募によって優れた研究を選んで配分する競争的資金の中で最大規模で、2016年度は10万1234件の応募があり、うち3割弱が採択された。