産経前ソウル支局長に無罪判決 韓国地裁、名誉毀損認めず

2015/12/17 22:04
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【ソウル=加藤宏一】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を傷つける記事を書いたとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長(49)の判決公判が17日、ソウル中央地裁であり、李東根(イ・ドングン)裁判長は無罪(求刑懲役1年6月)を言い渡した。記事は言論の自由の領域に含まれ、朴氏らを誹謗(ひぼう)する目的がなかったとした。

判決公判のため、ソウル中央地裁に入る産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(17日)=共同

判決公判のため、ソウル中央地裁に入る産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(17日)=共同

加藤氏は昨年8月、産経新聞のウェブサイトで朝鮮日報のコラムなどを引用し、同年4月に発生した旅客船セウォル号の事故当日、朴氏がある男性と会っていたとの噂を報じた。検察は加藤氏が噂の真偽を確認する努力をせず、虚偽だと知りながらも、朴氏と男性を誹謗する目的で虚偽事実を広めたとして、情報通信網法に基づく名誉毀損罪に当たるとしていた。

李裁判長は17日の判決で、噂が虚偽であると指摘したうえで、加藤氏は記事作成に当たって「いかなる注意を傾けるべきか認識していた」と指摘。「噂は虚偽かもしれない」という未必の故意があったとして、記事作成時に虚偽だと認識していたと認定した。

一方で「韓国は日本の隣国であり、韓国大統領の言行や沈没事故に関するニュースは日本国民の公的な関心事だった」と指摘。記事は日本人のために日本語で書かれているとしたうえで「沈没事故と関連した韓国の政治状況を伝えようとした」として公益性を認めた。

さらに、名誉毀損罪は他人を誹謗する目的で偽りの事実によって名誉を傷つけた場合に成立するが、「大統領の公的地位を考慮すると名誉を毀損したと言えない」と指摘。検察側は朴氏を大統領、私人と分けて考えるべきだと主張したが、私人としての名誉毀損についても「(朴氏が)大統領でなければ、(加藤氏は)記事を作成しなかったと思われる」として検察の主張を退けた。

李裁判長は記事について「セウォル号の事故当時の間違った事実を基に大統領を愚弄するのは適切ではない」とする一方、「民主主義の存立や発展に欠かせない言論の自由を重視するのは当然で、外国人記者だからといって言論の自由を差別的に制限する合理的な理由はない」とした。

検察は無罪の判決を受けて「判決文の内容を検討した上で、控訴するかどうかを検討する」とのコメントを発表した。

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