神戸事件「絶歌」増刷へ 加害男性の手記、販売自粛の店舗も
神戸市で1997年に起きた連続児童殺傷事件の加害男性が「元少年A」として出版した手記「絶歌」について、版元の太田出版(東京)は17日、今後も出版を継続する意向を自社のホームページで表明した。「社会は、彼のような犯罪を起こさないため、起こさせないため、そこで何があったのか、見つめ考える必要がある」としている。初版10万部を発行しており、今後も増刷する予定だという。
「絶歌」は11日の発売以降、東京都内にある主要書店やネット書店で、ベストセラーランキングで上位に入っている。一方で、遺族の心情を配慮し販売を自粛する書店も増えている。
大手書店の一つは、発売直後に100近い全店舗で販売を中止。被害者遺族の事前了解がなかったと知り、心情に配慮した。客からの批判が増えたため、店頭に並べるのをやめ、注文した客にだけ販売する方法に切り替えた書店もある。
事件で殺害された土師淳君(当時11)の遺族は出版に抗議し、回収を求める申し入れ書を太田出版に送付。同社は回答を送ったが、遺族側代理人は内容を明らかにしていない。同社は表明文で「ご遺族にも出版の意義を理解いただけるよう努力する」としている。〔共同〕
関連キーワード