2019年4月26日(金)

フィリピン女性、不当な借金・労働被害が増加 ブローカー横行

2016/10/31 12:14
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日本人男性との間で子供を産んだフィリピンの女性が親子で来日し、劣悪な条件で働かせられたり、不当な借金を負わされたりする被害が増えている。子供の日本国籍をとりやすくした制度改正を悪用し、支援を装って来日させる悪質ブローカーが横行。被害が明るみに出るのはわずかで、支援団体などは被害実態を把握するよう訴えている。

「裁判せずとも娘は日本国籍が取れたと後で知った。だまされていた」。大阪府に住むフィリピン人女性(30)が憤る。

2014年、ブローカーらに「日本で娘の国籍を取れば楽に生活できる」と誘われ、短期滞在の在留資格で来日した。フィリピンで出会った日本人男性との間に生まれ、一人で育てた娘(9)がいっしょだった。

中部国際空港からブローカーに連れて行かれた先は岐阜県内のパブ。「国籍取得にかかる裁判費用」の名目で60万円の借用書に署名させられ、ホステスとして働くよう指示された。休みは月2回、月給は10万円。接客は苦痛だった。

半年後、愛知県内の教会に駆け込んだ。岐阜県警がパブ経営者やブローカーの男らを入管難民法違反容疑で摘発、約30人が同様の被害に遭っていたと判明したという。

日本人男性とフィリピン人女性の間に生まれた子供は「ジャパニーズ・フィリピーノ・チルドレン(JFC)」と呼ばれる。一般財団法人「アジア・太平洋人権情報センター」(大阪府)の藤本伸樹研究員によると、JFCの母親や母子が強制的に働かされるといった被害は3年ほど前から急増。年数十件の情報が寄せられる。

背景には国籍取得要件の緩和がある。日本政府は08年、両親が結婚していなくても、父親が生後に認知すれば子が国籍を取れるよう法改正した。藤本研究員は「来日する母子の増加で、国籍取得の支援をうたうブローカーが増えた。中にはパスポートを取り上げたり、借金を負わせたりし、不当に利益を稼ぐ悪質なブローカーもいる」と指摘する。

ただ摘発されるのは氷山の一角とみられる。外務省はホームページで悪質なブローカーや人身取引を行う犯罪組織に注意するよう呼びかけるが、NPO法人「JFCネットワーク」(東京)は「被害実態を調査した形跡もなく、支援策も乏しい」という。同ネットワークによると、日比の婚外子は少なくとも数万人いるとされる。

フィリピンに信徒が多いカトリック教会などでつくる「日本カトリック難民移住移動者委員会」(東京)は近く、母子らを含めた人身取引の問題に取り組むプロジェクトチームを発足させる。教会を保護施設にしたり、被害防止を啓発したりすることを想定している。

準備作業を担う同委員会の山岸素子委員は「定住後も貧困から抜け出せない母子が多く、継続して支援する必要がある。行政は被害実態を把握し、対応を強化すべきだ」と話している。

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