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被災地の芸術家、伝え方に苦悩 「自分の経験として感じて」

東日本大震災の発生から6年がたった被災地で、芸術家が社会における役割を自問している。記憶の風化を食い止めるため、鑑賞者が「震災を自分の経験として感じられるように」と、被災地の今を表現する。

宮城県蔵王町の画家、加川広重さん(40)は震災2日後、親戚の安否を確認するため沿岸部へと自転車を走らせた。時がたち「復興という言葉の影で複雑化する人々の感情を取り上げたい」と巨大画を制作。昨夏、高さ5メートル、幅16メートルのパネルに、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出された福島県飯舘村の農家の風景を描いた。

「悲しみの一言では語り切れない状況が生まれている」。村を離れる子や孫と別々になっても、古里に戻りたいと願うお年寄りに思いをはせた。

映像作家、小森はるかさん(28)と、画家で作家の瀬尾夏美さん(28)は、東京芸大の大学院生だった震災直後、レンタカーで被災地へ入った。体験談を「猛烈な勢いで」話す人々に驚き、見聞きしたことを記録。東京などで報告した。

2012年春、甚大な津波被害に遭った岩手県陸前高田市に拠点を移した。波にさらわれた土地の記憶をたどる住民たちの姿や、自宅の土台など震災前の暮らしの最後の痕跡が、かさ上げ工事でかき消される様子を映画にした。「距離的、時間的に遠くにいる人にも、自分の体験として置き換えてもらえるような作品」(瀬尾さん)を作り続ける。

家を流された当事者として芸術の役割を考えるのは、宮城県気仙沼市のリアス・アーク美術館学芸員、山内宏泰さん(45)だ。「強い共感を抱いてもらえるか」を吟味して展示物を選ぶ。

「被災地に笑顔を」などの活動は消え、「社会で起きていることにどう関わるか」といった根本的な問題意識を持つ芸術家が残ったと指摘する。「震災を伝えることは、地域の未来や命に関わること。正しく伝えていかなければいけない」との思いを一層強くする。〔共同〕

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