弘前城天守、持ち上げ 400トンを解体せず移動へ

2015/8/17付
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江戸時代に築城された弘前城(青森県弘前市)で17日までに、国の重要文化財で重さ400トンの天守をジャッキで持ち上げ、解体せずに移動させる曳屋(ひきや)工事が始まった。

16日は太鼓や笛の音が会場を盛り上げる中、葛西憲之市長らの「曳屋事業にかかれ」との合図で27台の油圧ジャッキが作動。天守がゆっくりと土台の石垣から切り離された。この日は約5分かけて10センチほど上昇させる作業を2回行い、計約20センチ持ち上がった。

青森市から訪れた自営業、高谷優子さん(42)は「昔の技術で造った城を今の技術で持ち上げる貴重な工事を見られて感動した。動きだすときも見に来たい」と話した。

今後、レール上の台車に載せ、約2カ月かけて70メートル離れた仮設の天守台まで移動する予定だ。

弘前市によると、現存する全国の天守のうち、曳屋をするのは弘前城だけ。移動期間中は曳屋の作業が見える位置に仮設展望台を設けるほか、9月20~27日に応募者らを対象とした「曳屋体験」などのイベントを開き観光PRを図る。

曳屋工事は、天守を支える石垣が経年劣化や地震の影響で外側に膨らんでいることが市の調査で分かり、石垣を約10年がかりで解体修理するのに伴って行われる。元の位置に天守を戻す曳屋は2021年度の予定。

弘前城は旧津軽藩の居城として築かれ、現在の天守は江戸後期に再建。1890年代に石垣崩落があり、97~1915年に曳屋を伴う大規模な修復工事をした。市によると、当時の曳屋は丸太や滑車などを使って作業したとみられる。江戸時代以前に建てられ現存する姫路城(兵庫県)など全国12の天守のうち、最北に位置する。

▼曳屋 建物を基礎部分から切り離し、解体せずに移動させる工法。ジャッキを使って建物を持ち上げ、移動用の台車やレールなどを使って動かすことが多い。基礎部分を修理する弘前城のようなケースのほか、道路の拡幅工事や土地区画整理に伴い家屋を移動させる場合にも用いられる。解体より工費が安く、工期が短く済むなどのメリットがある。旧首相官邸やJR奈良駅の旧駅舎でも同様の工事が行われた。

〔共同〕

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