硫化水素、33浴槽で基準超 全国の温泉調査
環境省が全国の温泉施設の硫化水素ガス濃度を調べたところ、5道県市の33浴槽で国の基準値を超えていたことが16日、同省への取材で分かった。同省は常に換気することを明記するなど、基準の在り方の見直しを検討している。
北海道足寄町の温泉施設(休業中)で2014年10月に男性客が中毒とみられる症状で意識不明となった事故を受け、昨年10~12月、保健所を設置している自治体を通じて初集計した。
環境省によると、33浴槽の内訳は北海道7、青森県13、宮城県4、山形県6、青森市3。同省は個別の施設名やデータを明らかにしていない。北海道からは詳細な数値の報告がなく、報告があったそれ以外の26浴槽でも、硫化水素濃度は20~50PPMで、同省は「通常は健康被害が出るレベルではない」としている。
硫化水素が発生する可能性のある浴槽は全国に6434カ所あり、このうち約4千カ所を測定した。残りの浴槽は「未使用」や「同じ配湯系統で測定している」など。追加調査中のところもあり、今後、基準値を超える件数は増える可能性もある。
国が1975年に定めた基準では、濃度の上限は洗い場の床面から70センチで10PPM、湯面から10センチで20PPM。見直しでは換気方法のほか、濃度の測定位置についても明確化するほか、運用方法についてのガイドラインを作成する予定だ。〔共同〕