自閉症の視界を疑似体験 阪大が装置開発
大阪大学の長井志江特任准教授らは16日、自閉症などの人の視界を体感できる装置を開発したと発表した。人混みで他人の顔がぼやけたり紙吹雪のようなちらつきが視界に生じたりといった特有の症状を再現できるという。自閉症の人が暮らしやすいインフラの整備や客観的な診断法の開発に役立つとみている。
研究グループは、自閉症と診断された成人16人について、人混みの映像など29の場面をみてもらい、視界がどのように変化するかを聞き取った。映像の明るさや音の大きさをそれぞれ数値化したところ、患者の視界の変化と一定の関連があることを突き止めた。
開発した装置はこの成果を応用。頭部に装着して使い、視界に変化が出そうな場面に遭遇すると、人の顔がぼやけたり色が抜けたりして見える。
自閉症の人は触覚や聴覚でも変化があるといい、こうした知覚の変化を数値化する研究が進めば、自閉症の診断が客観的にできると研究グループはみている。