2018年1月19日(金)

芥川賞に小野氏「九年前の祈り」、直木賞は西氏「サラバ!」

2015/1/15付
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 第152回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞は小野正嗣氏(44)の「九年前の祈り」(「群像」9月号)に、直木賞は西加奈子氏(37)の「サラバ!」(小学館刊)に決まった。2月中旬に都内で贈呈式を開き、受賞者には正賞の時計と副賞100万円が贈られる。

芥川賞を受賞した小野正嗣氏(右)と直木賞の西加奈子氏(15日夜、東京都千代田区)

芥川賞を受賞した小野正嗣氏(右)と直木賞の西加奈子氏(15日夜、東京都千代田区)

 小野氏は大分県生まれ。東大大学院を経てパリ大に留学し博士号を取得。現在、立教大准教授。2002年、小説「にぎやかな湾に背負われた船」で三島賞を受賞。芥川賞は4回目の候補で受賞となった。

 「九年前の祈り」は大分の深い入り江の町が舞台。主人公はカナダ人との結婚が破綻した35歳の女性で、都会から病を抱えた子供とともに血縁関係が濃い共同体に舞い戻る。地域に根ざして生きる人々の祈る姿に希望を見いだす再生の物語で、芥川賞選考委員の小川洋子氏は「土地の持つ力がうまく結実した。鮮明な記憶と曖昧な記憶がつながって一つの像を結び、見事だ」と評した。

 記者会見で小野氏は「自分にとって故郷の大分は文学のよりどころで土地が小説を書いたともいえる。故郷の人たちにも感謝したい」と喜びを語った。

 西氏はイラン・テヘラン生まれ。エジプト・カイロや大阪で育つ。関西大卒業後、04年刊行の小説「あおい」でデビュー。06年刊行の「通天閣」で織田作之助賞を受賞。直木賞は2回目の候補での受賞となる。

 「サラバ!」は著者と同じ年にテヘランで生まれた男性「歩」が家族の離散という試練を経ながら成長していく姿を生き生きと描いた。直木賞選考委員の林真理子氏は「暗い世の中だからこそ、明るくスケールの大きな作品が出てきたのは喜ばしい」と述べた。

 西氏は「とにかくシンプルにうれしい」と満面の笑みで登場、「これからは世間で当たり前だと思われることが本当にそうなのかと問いかける小説を書いていきたい」と意気込みを語った。

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