緊迫再び、住民ら冷静 Jアラートなお課題 北朝鮮ミサイル発射
15日朝、北朝鮮の弾道ミサイルが日本を通過し、全国瞬時警報システム(Jアラート)のサイレン音が再び北海道や東北など12道県に響いた。大半の地域が8月末の前回発射を経験しており、「冷静に対応できた」との声も出た。一方で、住民への情報伝達でミスが発生するなど、なお課題を残した。
「情報を確認してから、速足で最寄りの駅に避難できた」。仙台市の会社員男性(28)は通勤中にスマートフォンにJアラートが届いた。実は8月29日の前回発射時も通勤中だったが「周囲に頑丈な建物もなく、どうすればいいか分からず、路上で立ちすくんでしまった」という。
政府はJアラートの文言に分かりにくさがあったとの反省から9月14日に文言を変更。もともとは「頑丈な建物や地下に避難」だったものを「建物の中または地下に避難」に改めており、男性は「今回は落ち着いて行動できた」と振り返る。
「どこに避難すれば良いのか」。前回、青森県防災危機管理課には住民からの問い合わせが寄せられたが、今回はゼロ。担当者は「文言が分かりやすくなった効果だ」と歓迎する。
福島県郡山市の桑野小学校は前回発射後、児童に文書を配布。Jアラートが鳴ったら、すぐに避難するよう徹底した。同校は「児童が校内にいる時も、安全に避難させられるように教諭に指導したい」と話した。
一方でJアラートの住民への伝達では、今回もトラブルが起きた。
秋田県由利本荘市では、Jアラート発令当時に強風と降雨の影響で防災無線が聞こえづらいとの報告があった。ミサイルを想定した避難訓練の実施を27日に予定しており、同市の担当者は「避難訓練の前に本番が2回あり、住民にとって緊急時の心構えにつながっただろう」と話す。
北海道松前町では防災無線の家庭用受信機の一部が作動しない不具合が発生。無線にノイズが多く、機器が自動起動しなかったのが原因だった。住民から「Jアラートが鳴らなかった」との指摘があり、発覚。同町の担当者は「原因を特定し、対策を考えたい」と話した。
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