2019年3月19日(火)

原子力規制委、福島第1「凍土壁」の全面凍結を認可
22日に作業開始

2017/8/15 19:53
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原子力規制委員会は15日、東京電力福島第1原子力発電所の汚染水の増加を抑える「凍土壁」について、残していた1カ所の凍結を認可した。東電は22日に作業を始める。今秋にも全面凍結が完了する見通し。ただ遮水効果は依然はっきりせず、建設に345億円の国費を投じた効果の検証が不可欠だ。

設置工事が完了した、福島第1原発の凍土壁の冷却液を流す配管(2月、福島県大熊町)

凍土壁は1~4号機の周囲約1.5キロメートルの地盤に配管を埋め込み、セ氏零下30度の冷却液を流して管の周囲の土を凍らせて築く。東電は2016年3月末に凍結を開始し、段階的に範囲を広げていた。17年3月から地下水が流れ込む山側7メートルの1カ所を残して、最終段階の作業に入っていた。

1カ所だけ残したのは、全面凍結すると周囲の地下水位が低くなり、原子炉建屋内の高濃度の汚染水が外に漏れ出る危険性があるからだ。規制委はそのリスクなどを検討し、6月の審査で凍結を大筋で了承した。

東電は認可を受けて22日から残る地点の配管に冷却液を流し込む。東電のもくろみ通りいけば2、3カ月後には他の場所と同様に地下30メートル、厚さ約1メートルの氷の壁ができ、凍土壁は完成する見通しだ。

凍土壁は建設当初「汚染水対策の切り札」として期待されていた。だが凍結開始から1年半たつ今でも、その効果は明確ではない。

原子炉建屋への地下水流入量は当初1日400トンほどあったが、現在は130トン程度まで減った。一方で、1~4号機の周りに約40カ所ある「サブドレン」と呼ばれる井戸で1日400~500トンの地下水をくみ上げており、その影響なのか、凍土壁の効果なのかは、はっきりしていない。

増田尚宏・福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は7月の会見で「数字で実際にどれだけ効果があったのかはいえない」と述べた。

東電は凍土壁と井戸でのくみ上げの両方で地下水の流入を管理できればよいとの立場で、それぞれの詳細な効果について検証する必要性は薄いという考えだ。

凍土壁は建設に345億円かかり、凍結の維持に年十数億円の運用費がかかる。京都大学の嘉門雅史名誉教授は「凍った凍らないの議論ではなく、地下水の管理について効果を評価する時期だ」と指摘する。

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